陽と月との間で―明日をのぞむ―

私の物語と私の考えたことを私なりの言葉で紡ぎます。

新聞の校正

 最近、新聞にコラムを書きませんか?というお仕事が舞いこむようになりました。もともと書くことが好きで、自分の書いた文章が新聞様に載るなんて素敵だ!と単純に思っていましたし、以前は兼職兼業が厳しくされていましたが、ここ数年だいぶ緩和されてきたという職場の事情もあって、食い気味に「書きます!書かせて下さい!」とお願いし、現在連載しています。

 新聞に書いたときに最も新鮮だったのは「自分の文体にも癖がある」という、考えてみれば至極当たり前の事実でした。自分で言うのも何ですが、書くことは好き、であるだけではなく、得意!という自覚さえ持っており、人に直された経験がほとんどなかったので、それなりの自信は持っていました。

 ところが、いざ新聞に原稿を送ると〃バッサバッサ〃と音が聞こえるぐらい、大胆にカットされる文章に愕然としました。「俺の書いた文章に手を入れやがって!」と怒る気力もなくなるぐらい、それはそれは気持ちの良い校正です。

 そしてそれがまた一つひとつ適切な校正なんです。特に私がしがちな「トートロジー(無意味な反復)」をことごとく指摘し直してくる。文章の終わりごろには、爽やかな気分にさえなりました。

 徒然草に「先達はあらまほしきことなり」という文言がありますが、自分の至らなさ、未熟さ、そしてその未熟さに気づかない愚かさに改めて鉄槌を下された気分です。

しかし、それ以降自分の文章を他者の目で眺めるよう、意識だけはすることが可能となりました。とても大きな成長だと個人的には思っています。

 今週締切の記事をようやく書き上げました。これからまた「校正のムチ」を甘んじて(半ば心地よく)受けようと思います。